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事例:D‐30

ウインカレンズ取り付けスクリュ頭の錆によるバルブ交換の困難化について


【整備車両】

 RG250EW-4W (GJ21B) RG250Γ(ガンマ) 4型  推定年式:1986年  参考走行距離:約3,900km


【不具合の状態】

 ウインカレンズの取り付けスクリュの頭が錆びていました.


【点検結果】

 この車両はお客様のご依頼を承りメガスピードにて各部を分解整備したものですが,

今回はウインカーレンズの取り付けスクリュについて記載します.



図1.1 錆の発生しているウインカレンズ取り付けスクリュ

 図1.1はフロント右側ウインカ後部の様子です.

ウインカレンズを取り付けるスクリュの頭が赤茶色に変色していた為,かなりの錆が発生していると判断できます.



図1.2 錆の発生しているウインカレンズ取り付けスクリュ

 図1.2はウインカレンズ取り付けスクリュを取り外した様子です.

特に右端のスクリュは頭の錆が著しい為,破損させない様に慎重に取り外しを実施しました.

ガスケットワッシャの色から判断しても,右端が著しく錆びていることが確認できます.

これは右端のスクリュの使用部位が車体最外側にあることにより,

雨風の影響を一番多く受けた為であると推測することができます.

しかし幸いにもねじ溝そのものには錆の発生がほとんど無かった為,スクリュが固着していませんでした.

この部分のスクリュが固着するとかなり取り外しが困難であり
※1

無理な力をかけてウインカを破損させることは絶対に避けなければなりません.



図1.3 レンズ内部の確認

 図1.3はスクリュを取り外し,レンズの内部を確認している様子です.

スクリュが錆びている場合,バルブソケットに錆が発生していることが少なくありませんが,

この事例ではスクリュがかなり錆びていたにもかかわらずバルブソケットにはほとんど錆がないことから,

使用環境においてガスケットが確実にシーリングしていたものと判断することができます.



【整備内容】

 ウインカレンズ取り付けスクリュはすでに修正が困難な状態である為,ガスケットワッシャとあわせて新品に交換しました.

また使用により潰れて変形していたレンズガスケットを新品に交換しました.



図2.1 新品のウインカーレンズ取り付けスクリュ及びガスケット

 図2.1は新品のウインカレンズ取り付けスクリュと新品のガスケットワッシャの様子です.

ガスケットは密封相手がウインカボデー樹脂である為,材質が同じく柔軟性のある樹脂で製造されています.



図2.2 ウインカの点滅確認

 図2.2はウインカが法に合致したタイミングで点滅している様子です.

状態が良好であることを確認して整備を完了しました.



【考察】

 ウインカーレンズの取り付けスクリュは頭の溝が小さく,比較的なめ易いビスであるといえます.

特に使用部位が外部にあることから雨風の影響を受けやすく,年式が古い車両は錆びていることが珍しくありません.

スクリュの頭が錆びると脆くなり,末期的になると触れただけで崩れてしまう様になります.

そうなると,ねじを回転させるのが非常に困難になるだけでなく,

ねじが周囲より潜っていることからねじの頭を利用した抜き取りも難しくなります.

またドリルを使用するにしても,ねじのサイズそのものが小さい為,効果的に抜き取ることができないのが現状です.

したがって,ウインカ内部のバルブが切れた場合,バルブを交換するのではなく,

ウインカそのものを交換するといった手法が取られがちですが,

すでにウインカそのものが絶版である為,安易に交換する頭でいるのは賢いとはいえません.

その様な事態に陥らない為にも,やはり取り付けスクリュが錆び始めたら早めに対処しておくことが求められます.





※1
 “雨水の侵入がもたらすソケットの固着と端子の接触不良について (2)”






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