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事例:D‐34

バッテリ液の付着によるバッテリケースの腐食と密封式バッテリへの換装による対策について


【整備車両】

 CB250RSA-Ⅱ (MC02)   推定年式:1981年  走行距離:約2,600+αkm


【不具合の状態】

 バッテリケースが著しく腐食していました.


【点検結果】

 この車両は各所点検整備のご依頼を承りメガスピードに入庫されたものです.

今回の事例ではバッテリケースに発生した腐食について記載します.



図1.1 錆の発生しているバッテリケース下部

 図1.1はバッテリケース下部の様子です.

バッテリケース下部が腐食していることが分かります.

全体的に腐食が見られましたが,特にバッテリケース下部とベントホース配管部沿いが著しく腐食していました.

これらのことから,腐食の主な原因はバッテリからこぼれた希硫酸やその蒸気であると推測できます.


【整備内容】

 腐食をそのままにした場合,薄い鉄板そのものが崩れかねない状態であることから,

その進行を食い止める為に錆の除去及び塗装を行いました.

また同じことの繰り返しにならないようにするため,蒸気を外部に逃がす開放型のバッテリをやめ,

密封式のバッテリを採用しました.



図2.1 錆や腐食を除去し塗装されたバッテリケース

 図2.1は塗装したバッテリケースの様子です.

これにより錆の進行を防ぐことに加え,見た目の美しさも取り戻すことができました.



図2.2 車体に取り付けられた補修塗装したバッテリケース

 図2.2は錆取り塗装したバッテリケースを車体に組み付け,

ヒューズボックスやリレー,CDI等の部品を取り付けた様子です.

腐食していた図1.1と比較すれば驚くほど綺麗になり,さっぱりしたことが分かります.

やはり錆や腐食の防止だけでなく,見た目の美しさも可能な限り取り戻さなければなりません.



図2.3 新品の密封式バッテリ

 図2.3は新品の密封式バッテリの様子です.

これにより,今までの開放型で発生していた蒸気による腐食を防止することができます.



図2.4 整備の完了したバッテリケース廻り

 図2.4は整備の完了したバッテリ廻りの様子です.

バッテリそのもののサイズが小さくなったため適切なスペーサを使用しました.

またプラス側とマイナス側の端子もそれぞれ適切な長さに加工し,欠落していたボデーアースを追加しました.

最終的に試運転を行い,各電装部品が正常に稼働していることを確認して整備を完了しました.


【考察】

 バッテリケースにはヒューズボックスやリレー,CDI等色々なものが取り付けられているため複雑な形状になっています.

そして肉厚も薄く,錆や腐食が発生した場合,放置すればやがて破損に至ります.

今回の事例では腐食していたのが塗装と金属表面のみであったので,

錆取りを行い,再塗装により防錆性能を確保するとともに,外観を美しくすることができました.


 バッテリケース下部やその周辺が著しく腐食していた場合,この車両の様に開放型のバッテリでは,

上部の栓からこぼれたり蒸発したバッテリ液が外部に漏れ出し,周囲を腐食させます.

やはり一度バッテリケースを取り外して整備した場合には,同じことの繰り返しにならないようにするためにも,

密封型のバッテリに換装することは,対策としての有効な選択肢の1つであるといえます.





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