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事例:4D-1

タコメーターが無く照明の暗いコンビネーションメーターの対策について

【整備車両】 
 CARRY TURBO (DA52T) キャリイターボ  年式:2000年  参考走行距離:約 150,000 km
【不具合の状態】 
 純正仕様という範囲では何ら故障等は発生していませんでしたが,タコメーターが無いこと,夜間照明が暗くメーターが読み取りづらいこと等の運転における不満をいだく環境でした.
【点検結果】 
 より一層安全な運転ができるよう,タコメーターの追加と照明の見やすさの向上を兼ね備えたコンビネーションメーターに交換することで対応を図りました.

図1.1 タコメーターの無い純正コンビネーションメーター
 図1.1はタコメーターの無い純正のコンビネーションメータの様子です.この状態では実際のエンジン回転数が分からず,ドライバーが意図した運転をしづらくなるのは明白です.また各部整備・調整の際にもエンジン回転数が容易に分からないと非常に不便であることは言うまでもありません.

図1.2 照明が暗く良く見えない表示板と指針
 図1.2は夜間照明を点灯させた状態の純正コンビネーションメーターの様子です.メインのスピードメーターが暗く見にくいばかりでなく,水温計と燃料計に至っては,針そのものがほとんど見えない状態です.これは針に照明が無いために発生する構造上の問題ですが,あまりにも暗いことに驚きます.確かに燃料計は許せるとしても,水温計は刻一刻と変化するエンジンの状態を表示するものですから,これが見にくいことによる弊害は無視することができません.特に夜間は日中に比べて人体の視力の低下は避けられず,その中でこの程度の照明では運転に支障が出るのは明らかです.
 タコメーターレスの状態も含めて,迅速に快適な運転環境にシフトしたいと思うのも,ごく自然なことです.

図1.3 ほこりまみれになっているコンビネーションメータ設置部
 図1.3はパネルを取り外して純正のメーターを引き出す際に確認した設置部の汚れの様子です.新車から一切掃除されていない様な雰囲気を感じます.室内を綺麗に清掃したつもりになっていても,実際にはダッシュボードの中はこの様になっていることがほとんどです.したがって,『徹底的にカークリーニングをした』 という表現を使用するのであれば,このような部位も当然美しく清掃されなければなりません.


【整備内容】
 
主にグレードの低い普通車や軽自動車等にはタコメータの無い仕様があります.その場合,どうしても必要であれば社外のタコメータを取り付けることで対応できますが,ダッシュボードやステアリングコラムの上等に設置した場合,非常に見栄えが悪くなります.したがって今回の事例ではもともとある純正のコンビネーションメーターの位置に置き換える形で対応しました.

図2.1 清掃されたコンビネーションメータ設置部
 図2.1はコンビネーションメーター設置部を清掃した様子です.長年積もったホコリや小さなゴミ等をすべて除去し,清潔な状態に戻しました.整備する際にアクセスした部位は美しく仕上げなければならないのです.

図2.2 清掃されたコンビネーションメータカバーレンズ及び本体
 図2.2は部品を流用する際に,各部点検清掃している様子です.特にメーターカバーレンズの裏側は,メーター単体の時にしか分解できない為,取り外した際には確実に手入れしておくことが求められます.

図2.3 コンビネーションメータの動作確認
 図2.3はコンビネーションメーターを設置し,内装等を取り付ける前に予め各動作を確認している様子です.今回使用したのは取り外したオドメーターとほぼ同じ走行距離の中古部品であるため,まずは少なくとも取り付けた段階で確実に動作していることを確認しなければなりません.

 メーターは様々な種類がありますが,当該軽トラックにはエアバッグおよびABSが付いていないため,警告灯も無しの仕様を選定しました.またレッドゾーンに関しては,数種類ある仕様の中で,レブリミッターカット等の変更予定を考慮し8,000rpmを選択しました.そしてターボ仕様というスポーティな走りが約束されることから,表示は白を選択しました.もちろんこの車両はマニュアルトランスミッションですから,オートマチックのシフトレンジが表示されるという滑稽な状況は極力回避しなければなりません.

図2.4 新たに設置されたタコメータ付属のコンビネーションメータ
 図2.4はタコメーター付きのコンビネーションメーターを設置し,内装を取り付けた様子です.図1.1の純正のコンビネーションメーターと比較すれば,いかに見やすく機能的であるかが分かります.ホワイトパネルに対して針がレッドであることから,指針の読み取り易さが向上している点も見逃せない大きなメリットです.

図2.5 見やすくなった夜間照明
 図2.5は周囲が暗くなってから照明を点灯させた様子です.純正に比べ全体が明るくなっただけでなく,水温計と燃料計の針も見やすく,非常に状態が把握しやすくなりました.現在水温の把握はもちろんのこと,夜間において長距離の移動時に燃料の残量を把握しやすくなるため,特に高速道路では大変有効にサービスエリアの利用計画が立てることが可能になりました.
 図1.2の純正の夜間照明と比較すれば一目瞭然ですが,メーターの見やすさが格段に上がることにより,スピードメーターに始まる現在情報の収集力向上により,夜間においてより一層安全に走行することが実現できます.タコメーターが付属したというメリットもさることながら,夜間の計器類の見やすさ向上という付随的なメリットも決して見逃すことはできず,むしろ夜間走行におけるメーターの見にくさからくるストレスが解消されたことの方が大きいと言っても,決して誇張ではないことが確認できるはずです.

図3.1 快適なドライビングが可能になったキャリイターボ
 図3.1はコンビネーションメーターの変更されたキャリイターボの様子です.非常に運転しやすくなったことにより,積荷運搬の役目だけでなく,日常的な買い物等にも楽しく出かけられるようになりました.

 ドライビングの楽しみは,何も昨今の最新の電子制御による過剰ともとらえられるアシストシステムだけではないことが,このタコメーターが装着されて夜間照明が見やすくなったという機能的に単純かつ力強い変化による運転性の向上から,容易に理解することができます.
 またこの車両はオーディオがラジオしかなかったため,更なるドライビングの快適さを求め,オーディオをUSBデータ再生可能なものに交換しました ※1


【考察】 
 保安基準では速度計の設置は必須であっても,回転計いわゆるタコメーターは任意になっています.したがって,廉価盤や軽自動車ではコストカットや必要条件の考慮等からタコメーターを備えていない仕様のグレードが存在します.

 確かにA/T(オートマチックトランスミッション)であれば回転計がなくても,通常走行において問題はないと言っても否定することはできません.しかし実際にはタコメーターが付いていた方がエンジンの状態をモニタリングする上で好ましいと言えます.ましてやM/T(マニュアルトランスミッション)であれば,シフトの際に現在の回転数が表示されている方が適切なドライビングを実施しやすいと言えます.
 今回の事例では純正のシグナルを直接利用したため正確な回転信号を受け取ることができました.社外のタコメーターではその取り方によってはノイズ等に悩まされる可能性があることからも,状況が許される場合は純正のシグナルを利用するのが賢明です.

 2輪では原付スクーターや単気筒,あるいはアメリカンモデルといった,走りそのものに機敏さを求めないものにはタコメーターが標準で装備されていないものが少なくありません.今回の事例でも対象車両が軽トラックであることから,確かに走りに機敏性を求めるものではないと言えます.しかしターボが付いているモデルであれば,自然吸気のそれとはまったく別の走りが可能ですし,実際に運転してみると,エンジン音と加速度に頼った勘でのシフトより,タコメーターが装着されていた方が遥かに気分良く運転できることが体感できます.したがって,例え自然吸気の軽トラックや低グレードの乗用車,軽自動車であったとしても,タコメーターが付くことによる運転性の向上を考慮すれば,そしてタコメーターが無いことによるフラストレーションがあるとするのなら,今後の人生を豊かに送るためにも適切な位置に適切なタコメーターを取り付けることが不可欠であると結論付けられます.


※1 オーディオの交換とスピーカーの新設について





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